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🎬 Movie2025.02.03

SHOGUNを観た。

めちゃくちゃ良かった。時代劇ものを観るとき、面白ければ面白いほど「ちゃんと歴史を勉強してきてたらもっと面白かっただろうに」といつも思うのだが、これもまさにそれ。このドラマ自体は安土桃山時代の末期、関ヶ原の戦い直前までを題材にしたフィクション。登場人物の名前も実在した人物とは全く違う名前になっている。とはいえ登場人物のモデルになった実在の人物が、歴史に疎い自分でもわかるくらいわかりやすく作られている。おそらく各話で起こる出来事もフィクションでありながらベースになった史実は存在しているのだろうと思う。そういった部分が、本当の歴史を知っていたら見分けがついてそれもまた面白いのだろうなと常々思いながら観ていた。

物語はフィクションなんだろうけど、映像に出てくる「安土桃山時代末期の日本」は限りなく現実に近く作られているように思う。これは主役兼プロデューサーの真田広之氏が尽力されたところによるものらしい。

たまたま見つけたNHKの視点・論点で語られている内容が非常に興味深かった。真田氏は日本での成功のあとハリウッドで下積みをし、本物の時代劇を完成させ世界から絶賛されたのだと思うと、その思いの強さたるやSHOGUNの吉井虎永そのものを感じざるを得ない。

そしてこのSHOGUNを見て思うのは、戦国時代の日本における命の軽さと生と同じくらいの意味をもつ死について。策を実現するための茶番で死ぬことが成すべきことを成した姿であるというのが、これまでの時代劇よりも色濃く描かれているように思った。(そんなに時代劇を見てきたわけではないんだけれども)

命が軽いというより、死の意味が重い。今と大きく異なるその死生観は、生きることに大きな意味をもつ現代において、死について深く考えるきっかけになりそうな気がした。

あと樫木藪重を演じた浅野忠信氏が非常に良かった。吉井虎永の手のひらの上で転がされ、後半になるにつれて「はぁ」というため息を吐きがちになった迷える子羊のようないい加減な藪重様は、お硬い武士ばかりの物語によい緩みを作ってくれていた。

シーズン2、3の制作が決定しているようなので、続きがまた楽しみだ。

© 2025 Keita MORI