表紙を見た時から、この本は重そうだと思っていた。滋賀県で起きた実際の事件—教育虐待を受け続けた娘が実母を殺害し、遺体をバラバラにして遺棄したという—それを追ったノンフィクション。読み始めてすぐ思ったのは、書かれている内容があまりにも鮮明だということ。事件に至るまでの経緯が丁寧に掘り起こされていて、途中で本を閉じたくなる瞬間が何度もあった。
読んでいて一番しんどかったのは、救えるタイミングがいくつもあったのが見えてしまうところ。虐待による火傷で病院に行っている場面もあれば、痣を信頼できる大人に見せていた場面もある。でも、そのどれもが児童相談所など支援につながることはなかった。
殺害犯となる娘は自分と同世代で、時代的に今ほど児童相談所が身近な選択肢として認識されていなかった頃の話だとは思う。それでも、あのとき誰かが手を差し伸べられたら、と考えずにはいられない。
母親も、本を読む限りでは明らかに精神疾患だったように思うが、外では友人関係をある程度保っていたようで、そうなると周囲からは気づきにくかったのかもしれない。父親も早々に別居していて、事件が起こるまで意識的に距離を置いていたように読めた。
ちょうど最近、凪良ゆうの作品を2冊読んでいた。あちらも児童虐待を題材にした話で、重さはあるのに最後にはどこか幸せを感じられる物語になっている。この本と並べると、辛い現実の重さが余計に際立つ。
読んでいて辛くなるのはたしかだし、誰にでも勧めるような本ではない。でも自分の見える範囲の子供たちに、少し意識を向けるようにしたいと思った。
