本当に、本当に良かった。三体を読み終えてから、こんなに読後感の良いSFにはそうそう出会えないだろうと思ってたらすぐ出会えた。ドキドキもワクワクもハートフルさも兼ね備えた最高の”サイエンス”・フィクションだった。三体もそうだったけどちゃんとサイエンスをフィクションしてるSF小説って面白いよね。
気がつくと宇宙を漂う宇宙船の中で記憶がない主人公。その主人公目線で、なぜ自分はここにいるのかという現在の時間軸と、時間が経つごとに徐々に思い出す過去の時間軸が折り重なって、少しずつ分かっていく事実。そしてなぜ宇宙船にいるのかが分かってからの予想外の展開。そこからのこれ以上なにも起こってくれるなと願いながら読み進める終盤。どこをとっても飽きるところなく読み進められて本当に面白い。
飽きがこない面白さのひとつは、出来事を具体的に描いてドキドキワクワクさせて息を詰まらせたあと、次またすぐ息が詰まる展開が起きそうという場面になると、フッと時間を飛ばしてサラッと描き、息抜きをさせてくれる。そのテンポの作り方が絶妙で、息がつまりすぎてしんどい感じもないし、かといって飽きがくるわけでもなく、ずっとベストなテンションでいられるからなんじゃないかと思う。
この作品はマット・デイモン主演で映画化された「火星の人」(映画邦題は「オデッセイ」)を書いたアンディ・ウィアーの3作目。映画「オデッセイ」はめちゃくちゃ良くて、その原作の「火星の人」も途中までしか読めてないんだけどとても読みやすく面白かった覚えがある。また読み直そうかな。
しっかりSF小説読みたい人には断然おすすめ。