思ひ出の記を読んだ。's main image

📕 Book2026.04.02

思ひ出の記を読んだ。

NHKの朝ドラ「ばけばけ」がとても面白かったので、ドラマが終わったあとにその原点となる本を読みたくなって手に取った。著者はドラマの主人公・トキのモデルになった小泉節子(セツ)さん。夫のヘルン(小泉八雲)さんとの13年8ヶ月の結婚生活を振り返って語った回想記。

100ページちょっとの薄い本で、読もうと思えばすぐ読める。とにかく読んでいると夫婦の日常の情景がドラマのように浮かんでくるというか、映像で見ているような感覚になる。ドラマが終わったあとのロス緩和としてちょうどいい一冊だった。

一番おもしろかったのは、ドラマでのヘブン先生の話し方や性格がこの本を読むとすごく腑に落ちるところ。たどたどしい日本語の言い回しとか、書くことへの没頭ぶりとか、もうまんまヘブン先生で、読んでいる間じゅうずっとトミー・バストウの声で脳内再生されてしまった。ドラマのキャラクター造形がいかにこの本に忠実に作られているかがよくわかる。

あと個人的に笑ったのが、本の中でヘルンが「ただ見るさえもよきです」(p.65)という言葉を使っているくだり。「よき」って言葉の先駆者やん。

ドラマを観ていない人にとっても歴史的な回想録として普通に面白いと思うけど、ドラマを観た人には特におすすめしたい。薄いのでさくっと読めるし、観たドラマの余韻をじっくり味わえる。

© 2026 Keita MORI