著者のとみさわ昭仁さんはゲームフリークの元社員。2000年に出版されたものが2025年に復刊された。構成は前後2部に分かれていて、前半はポケットモンスターがどうやって生まれたか、後半はゲームフリークという集団がどうやって生まれたかを追う。
とにかく全編を通じて熱量がすごい。復刊にあたって著者自身が、
復刊作業に取り掛かった当初は、執筆当時の若さゆに筆が走りすぎている部分や、途中でリタイアした会社への恩返しをしたいという思いが過剰に漏れ出ている箇所を、ややソフトな表現に書き換えるなどしていました。ですが「復刊」でそれをすべきではないと考えを改め、恥を忍んで若書きのままの現行をいまいちど世に送り出すことにしました。(p.346-347)
と書いていて、実際に読んでいると「ここはちょっと褒めすぎやろ」みたいな部分は確かに出てくる。でもそれがまた当時のリアルな熱量として伝わってくるし、むしろそのトーンも含めて面白かった。
読んでいて一番驚いたのが、ゲームフリークがポケモンを構想から6年かけて発売し、しかもその6年の間、外部から資金を一切入れずに、受託仕事などで会社を維持しながら開発を続けていたということ。そんなこと本当に可能なのかという驚きと、その決断の重さと、結果としての成果の大きさに、読んでいて何度も圧倒された。
本の中で紹介されている田尻さんの著書「パックランドでつかまえて」「新ゲームデザイン」もすごい気になる。これらもぜひ復刊してほしい。
そして本書のフィジカルな遊び心も素敵で、赤・緑・青の帯バリエーションが存在する。書泉発売版が赤、一般販売版が緑、5刷からが青で、初代ポケモンの赤緑青になぞらえているわけで、こういう細部へのこだわりはポケモンファンとしてほっこりする。自分が持っているのは赤帯。最初に選んだポケモンもヒトカゲだったし、なんか縁を感じる。
2000年に発売された本なのでポケモン金銀あたりまでしか書かれていないけど、このあと世界的なコンテンツになっていったことを知っている今読むと、序章の中の序章を読んでいる感覚になる。復刊してくれて本当によかった。
